2024年に入り、焼き肉店の倒産件数が過去最高を記録しています。
円安による輸入牛肉価格の高騰や光熱費・人件費の上昇が経営を圧迫し、特に小規模店舗が大打撃を受けています。
なぜ、これほど多くの焼き肉店が潰れる原因に直面しているのでしょうか?
そして、厳しい経営環境を乗り越えるための対策とは何か?
本記事では、焼き肉店の倒産が過去最高に達した背景と、店舗が生き残るために取るべき具体的な施策について詳しく解説します。
記事ポイント
- 2024年に焼き肉店の倒産が過去最高に達した原因や背景
- 円安や牛肉価格の高騰が焼き肉店の経営に与えた影響
- 焼き肉店が潰れる具体的な理由と経営困難の要因
- 焼き肉店が倒産を回避するための対策や生き残りの方法
2024年、焼き肉店の倒産が過去最高に達した理由とは
焼肉店の倒産件数は年々増加し、2024年上半期には過去最高を記録しました。
この章では、その理由と背後にある要因を掘り下げていきます。
焼肉店の倒産件数は過去最高?
2024年上半期における焼肉店の倒産件数は、前年同期と比べて約2.5倍に増加し、過去の記録を塗り替えるペースで進んでいます。
焼肉店の倒産ペースが加速している。2024年に発生した「焼肉店」経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、6月までに計20件発生した。23年の同期間に比べて約2.5倍となったほか、年間としてはこれまで最も多かった19年通年(26件)を大きく上回る勢いで推移し、過去最多を更新することになる。さらに、個人営業など小規模店の閉店や廃業などを含めれば、実際はより多くの焼肉店が市場から退出したとみられる。
引用元:帝国データーバンク
この背景には、特に円安による輸入牛肉の価格高騰が影響しています。
焼肉店にとって肉の仕入れコストは大きな負担であり、円安の影響でコストが跳ね上がったことで、経営に大きな打撃を受けているのです。
これにより、特に経営規模の小さい店舗では倒産が相次いでいます。
焼肉屋が潰れる理由は何?
焼肉屋の倒産原因のひとつは、円安による輸入牛肉の価格上昇です。
顧客の獲得競争が激化していることに加え、円安などを要因とした食肉価格の高騰が経営を直撃している。
引用元:帝国データーバンク
特に米国やオーストラリアからの輸入肉が多くを占めており、その仕入れ価格が高騰したことで、コストが経営を圧迫しています。
また、光熱費や人件費の上昇も追い打ちをかけており、特に小規模店舗はこれらの負担を吸収しきれずに倒産へと追い込まれるケースが増えています。
さらに、競争が激化していることも原因のひとつです。焼肉店の増加により、市場のパイを奪い合う状態が続き、消費者の「値上げ疲れ」も影響して価格を上げられない状況に陥っています。
このため、利益を確保できず、経営が成り立たなくなっているのです。
日本一焼肉屋が多い県は?
- 【1位】石川
人口10万人あたりの焼肉・ホルモン店の登録件数が25.96件で、2022年も1位を維持しました。実は、2020年から3年連続でトップを飾っています。この地域では、地元産の「能登牛」が人気で、その美しい霜降りと柔らかな肉質が、多くの焼肉店で楽しめます。能登牛の豊かな味わいが、石川県の焼肉店人気の一因となっているのです。 - 【2位】福井県
2020年から3年連続でランキング2位をキープしています。この県では「若狭牛」というブランド牛が知られており、特に坂井市周辺では多くの牧場がその生産に力を入れています。さらに、福井県は牛肉だけでなく「ふくいポーク」や「福地鶏」など、地元のブランド肉も豊富で、これらが焼肉店のメニューに多く取り入れられ、消費者に愛されています。 - 【3位】鳥取県
2020年から連続して3位に位置しています。鳥取県は「オレイン55」と呼ばれる高級和牛の産地で、脂の質がよく、柔らかい食感が特徴です。また、豚肉の「大山ルビー」や、鳥取地どり「ピヨ」などの地元産ブランド肉も有名で、これらの肉が鳥取県の焼肉店で提供され、多くの人々に親しまれています。
※下の表は人口10万人あたりの焼き肉、ホルモン店の登録件数です。
都道府県 | 2022年 登録件数 | 2022年 10万人あたり |
---|---|---|
石川県 | 292 | 25.96 |
福井県 | 187 | 24.61 |
鳥取県 | 127 | 23.13 |
大分県 | 232 | 20.83 |
三重県 | 317 | 18.05 |
日本で初めての焼肉店は?
日本で初めて焼肉店がオープンしたのは、戦後のことです。
日本初の焼肉店は、1946年頃に開店した東京の「明月館」と大阪の「食道園」だといわれています。
明治時代には牛鍋などの西洋料理が人気を集めましたが、焼肉という形で肉を楽しむ文化が広がったのは、実は戦後になってからのことです。
戦後の食糧不足の中で、牛や豚の内臓肉を利用したホルモン焼きが庶民に広まりました。
ヤミ市で提供されるホルモン焼きは、手頃な価格で栄養価の高い料理として人気を博し、これが日本の焼肉の原型となりました。
1946年頃、東京では「明月館」、大阪では「食道園」という焼肉店が開業し、日本の焼肉文化の幕開けを告げます。
これらの店は、当時の在日韓国・朝鮮人によって創業され、ホルモンを中心としたメニューからスタートし、次第にカルビやロースといった部位もメニューに加わりました。
こうして、日本特有の焼肉スタイルが確立されていったのです。
特に「食道園」は、後に高級焼肉店の象徴とも言える「叙々苑」を創業した新井泰道氏が修行したことで知られており、日本の焼肉文化の発展に大きな影響を与えました。
スポンサーリンク2024年、焼き肉店の倒産最高:円安と牛肉高騰が与える影響
円安が焼肉店の経営にどのような影響を与えているのか、またその影響が他の業界にも広がっている現状を、この章で詳しく解説します。
円安と牛肉高騰が具体的にどのように経営に影響しているのか
円安が進行すると、特に輸入食材に依存する業界に大きな影響が出ます。
焼肉業界では、米国やオーストラリアなどから輸入される牛肉が重要な食材であり、その価格が円安によって急激に上昇しています。
これは焼肉店にとって深刻な問題であり、特に低価格帯の店舗や食べ放題形式の店では、原価率が大幅に上がり、利益を確保することが困難な状況に陥っています。
加えて、牛肉だけでなく、豚肉や鶏肉など他の食肉も価格上昇の影響を受けており、全体的なコストが急上昇しています。
さらに、電気・ガスなどの光熱費や人件費の増加も重なり、特に中小規模の店舗にとっては耐え難い負担となっています。
こうしたコスト増に対して、焼肉店は値上げという対応を取ることが一般的ですが、現在は消費者の「値上げ疲れ」が強く、値上げを避けている店舗も多く存在します。
その結果、店舗の利益はさらに圧迫され、経営が立ち行かなくなって倒産に至るケースが増加しています。
他の業界でも同様の倒産が見られるのか
円安の影響は、焼肉業界だけにとどまりません。輸入食材に依存している他の外食産業、特に寿司店や洋食レストランも同様の問題に直面しています。
飲食業の倒産が増勢を強めている。2024年上半期(1-6月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は493件
引用元:東京商工リサーチ
寿司店では、マグロやサーモンといった輸入魚介類の価格が高騰し、経営に大きな打撃を与えています。
これにより、利益を出せずに閉店を余儀なくされる店舗が増えています。
また、パスタやピザを提供するイタリアンレストランでは、輸入小麦の価格上昇が経営を圧迫しています。
これらの業界でも、焼肉業界と同様に、コストの上昇と消費者の価格敏感性の高まりによって、倒産件数が増加しています。
全体的に見ても、円安と物価高騰の影響は外食業界全体に広がっており、多くの店舗が厳しい状況に直面していることが分かります。
倒産した焼肉店の平均的な負債額
2024年に倒産した焼肉店の平均的な負債額は、1000万円以上のケースが多く報告されています。
焼肉店の運営には初期投資として、店舗設備や換気システムの導入などが必要で、特に小規模店舗でもそれなりの資金がかかります。
そこに加えて、近年は仕入れコストの高騰や光熱費の増加など、運営コストが上昇しているため、多くの店舗が経営難に陥っています。
支払いが滞り、法的整理に至るケースが増加しており、結果として高額な負債を抱えての倒産が後を絶たない状況です。
倒産した店の多くはどのような店舗だったのか
倒産した焼肉店の多くは、個人経営の小規模店です。これらの店舗は、大手チェーン店に比べて資本力が乏しく、経済的な余裕がありません。
個人経営の焼肉屋さんの倒産が相次いでいるのはご存知でしょうか?
倒産の原因となる5重苦。引用元:東洋経済ONLINE
経済環境の変化や仕入れ価格の高騰、光熱費の増加といった外的要因に柔軟に対応することが難しくなり、結果的に閉店に追い込まれることが多く見られます。
特に、顧客を大手チェーン店に奪われ、競争の激化に耐えられずに倒産する例が顕著です。
スポンサーリンク2024年、焼き肉店の倒産が過去最高:総括
2024年に入り、焼肉店の倒産件数が過去最高に達しました。
特に円安や食材費の高騰が経営に大きな影響を与えており、小規模店舗を中心に倒産が相次いでいます。
また、競争の激化や消費者の「値上げ疲れ」も、経営難の要因となっています。
これらの背景には、外食業界全体のコスト上昇や市場の変化が関係しており、焼肉業界は今後も厳しい状況が続くと予想されています。
以下に、要点を箇条書きでまとめました。
- 焼肉店の倒産件数が2024年に過去最高を記録
- 円安による輸入牛肉の価格高騰が影響
- 食材費の上昇により、利益率が低下
- 光熱費や人件費の増加が店舗運営を圧迫
- 消費者の「値上げ疲れ」により価格転嫁が困難
- 特に小規模店舗が倒産のリスクに直面
- 都市部での競争が激化し、経営が難化
- 個人経営の店舗が特に倒産しやすい
- 大手チェーン店との競争で中小店が淘汰
- 輸入牛肉だけでなく、豚肉や鶏肉の価格も上昇
- 飲食業界全体にコスト上昇の影響が広がる
- 今後も厳しい経営環境が続くと予想される
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