■ 最近の「面白い!」
2009年2月10日の日経新聞夕刊で、面白いコラムを見つけました。フランス文学者の鹿島茂氏のコラムです。
タイトルが「ソバかラーメンか」。食に興味がある私にとって、とても目を引くものでした。
鹿島氏によると、日本文化の特徴は2つのベクトルで捉えることができるそうです。そのベクトルとは、「ソバ的ベクトル」と「ラーメン的ベクトル」。
両者には次のような違いがあるそうです。(黄色部分引用)
ソバ的ベクトル。これは、いったんルールと定数が定まると、それから逸脱することなく、厳密なルールと定数の内部での純化あるいは工夫を目指す方向。
(中略)
たとえば、そばつゆをトリガラで取るとか、そば粉の代わりに別な植物粉を使ったりしたら、ソバではなくなってしまう。つまり、各要素の選択において制限的であり、この意味で、ソバは均整と禁欲を旨とするクラシック(古典主義的)な食べ物であるといえる。
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これに対して、日本文化にはじつはもう一つ、ラーメン的ベクトルというのがある。これは、最低限のゆるいルールと定数があるだけで、あとはなんでもござれの多彩的な方向。
(中略)
いいかえると、ラーメンは外延的にも内包的にも、無限の変容と進化をつづける食べ物で、極端に言うと「これはラーメンでない」という言い方はあり得ない。
(中略)
この意味では、ラーメンは逸脱と変容を旨とするバロック的な食べ物であるといえる。
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ラーメン屋さんから一部反発がありそうなネーミングですが、文化のタイプの違いに「ソバ的」「ラーメン的」というタグをつけてしまうところが面白かったです。
鹿島氏は、≪今度の恐慌でベクトルが内向きになり、鎖国的な情況が現れてくる可能性がある≫ため、日本文化は今後≪しばらくはラーメン的だろうが、やがて強烈なソバ的揺れ戻しがくるかもしれない≫と締めくくります。(≪≫内引用)
恐慌でグローバル企業が次々と赤字決算になっている現在。もしかしたら鹿島氏のおっしゃるように、もともと日本にある強みをもっと深堀りする「ソバ的」なマインドになっていくのかもしれませんね。
■ この論を1枚であらわすと?(クリックで拡大))
ソバ的ベクトルとラーメン的ベクトル。同じ「麺」を扱っていても、それぞれのベクトルが向かう先は全く別の方向です。これを一目であらわすため、こんな図を描きました。
■ この図のポイント教えます(クリックで拡大)
対比を目立たせる上で気をつけたポイントは3つ。
- 何が対比されているかを、最初に一言で示す
- 両者が対比されているのが一目で分かるように、対比の矢印をつける
- 両者同じ大きさの枠を配置し、その上に内向きのぐるぐる矢印、外向きのぐるぐる矢印をそれぞれ配置することで、明らかな違いを示す
この図解は、プレゼンで相手を説得するのにも使えます。
「ソバ的」な図をメインとすれば、「わが社は内向きにしか物事を考えてない、もっと外に目を向けましょうよ!」
「ラーメン的」な図をメインとすれば、「わが社は外ばっかり見すぎている!もっと内部をしっかりみつめましょうよ!」
どちらの説得にも使える、お得な図といえるでしょう(笑)特に社内ミーティングでの説得に効果がありそうですね!
ちなみにこちらで使った図形は、四角と円弧の変形のみ。簡単でしょ?
■ おまけ:こうやって描いています(クリックで拡大)
「こんなぐるぐる矢印、テンプレートにも入ってないし描けないよ!」とお悩みの方。実は、凝っているようでこの図はすごくシンプルです。円弧で作った半円をコピーして回転させ、拡大して大きさを調整すればすぐ作れます。私がこの「ぐるぐる矢印」に掛けた時間は正味10分程度。慣れればチョチョイと作れちゃうんですよ。
■ 編集後記
昨日は大学時代の友人を自宅に招いてワイン&チーズ教室を開催しました。昼からワインを飲んだくれつつ、おしゃべりも楽しみました。休日お昼のお酒って、どうしてこんなにおいしいんでしょうね。背徳の香りがするからでしょうか。
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